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2012年6月17日 - 2012年6月23日

曳舟湯のさいごと、曳舟のこれからと。

Hikifuneyu1


Hikifuneyu2


Hikifuneyu3


Hikifuneyu4


Hikifuneyu5

墨田区で最古の銭湯、曳舟湯。
曳舟湯が80歳の生涯を今日終えました。

人のようにいうのは、なんだか生きているような建物だったから。

それはご主人や奥さんが、
毎日すごくすごく丁寧にぴかぴかにされていて。
手をかける、というのはこういうことを言うんだな、と沁みてくるような。

そして、そこに集ってくる人たちがみな、
温かくて優しい人たちで。
そういう人たちに守られているような。

それを全部汲み取って、そこに訪れる人を癒してくれるような、
おじいちゃんみたいな、おばあちゃんみたいな建物。

そんな、本当に素敵な大事な場所だったのです。


曳舟湯が無くなってしまう、と聞いたのは、実は、
「曳舟湯の怪人」という公演のはじまる前で。

それを聞いた私はなんというか、悔しくて、憤っていて。
この素敵な場所を無くしてなるものかと。

もう何年も前から話し合われていたけどなかなか動かなかった曳舟駅周辺の再開発計画を
スカイツリーの開業を機にやっちまおうという考えの中すすんでいるということが
どれだけ愚かなことか、ということを力のある人たちに知ってもらおうと思って。
墨田区区議のいろんな人に、
「どういうことか教えて欲しい」
「残す方法や、守る方法はないのか」
「この場所を本当になくしていいのか、もういちど考えて欲しい」
などとメールを送りつけて、
実際会ってお話したり、公演を観に来ていただいて意見を求めたりしたのです。

再開発計画はもう10年以上前から決まっていることなのでどうにもならないということと。
建物を文化財の指定にするにはハードルが高すぎること。
移築するには莫大な費用がかかること。

そんな話をいろいろ聞いて結果行き着いたのは
その先の曳舟湯の行く末はお客の私ではなく。
ほんとうにあたりまえのことだけどご主人と奥さんの考えでしか動かせないということでした。

尊重すべきは、ご主人と奥さん。
建物ではなく、それを生かしている「人」を大事にしなくては。
たまに行く私ができることはそれしかない。

悔しくて、悲しくて、寂しくて、残念だけど。
無力な私にはそれしかないのだど。
身をもって知る結果となりました。


そして、今日2012年6月17日24時をもって。
曳舟湯は80年の歴史に幕を下ろしました。

私は24時の10分前に曳舟湯に到着して。
(今日に限って、出かける直前に子供が起きだして泣いたので(ノ_-。))
番台下でご主人と奥さんとお話したり、
お久しぶりの方にばったりお会いしてごあいさつしたりして。
とりあえず湯船につかれればいいと。
3分だけ、もう誰もいなくなった湯船に女湯さいごのお客として入浴いたしました。

高い天井。
磨かれたカラン。
青と白のタイル。
熱いけどやわらかいお湯。
モザイクの絵。
桶や椅子。

ガラスの向こうの脱衣場で番台のご主人や奥さんが見える。
また泣きたくなって。
でも泣かないで我慢した。
ご主人も奥さんもお客さんに泣いて欲しいわけじゃないと思うから。
お二人のいろんな思いがあるはずだから。

23時59分に浴室を出て。
24時に着替え終わりました。
脱衣場にはまだ何人か名残惜しんでいる方がいて。
写真を撮ったり、お話をしたり。

私もご主人と奥さんにまたごあいさつして。
奥さんは「たった2年前に知り合ったなんて思えないわね」って笑ってくださって。
ご主人にも奥さんにも「また会おうね、近いうち」って言っていただいて。
出会えてよかったと、心から思っています。

本当の最後のお客として。
暖簾をしまうところまで見届けることができました。
これで、なんだか心の整理がついた気がして。
ようやっとこうやって文章を書いています。


街は変わっていく。
変わるから生きている。
でも、日本は歴史あるものを残しながら変えていくことが下手だ。
新しいことが悪いことじゃない。
でも。
かっこよくて、オシャレなだけで心のないものは街に繋がりを生まない気がしている。
思い入れあっての街の輝きではないだろうか。
そういう意味で歴史って人の思いが詰まってるから。
だから、残して欲しいと思うのだ。

曳舟湯のある場所は半分道路になって半分マンションになるそうだ。
歴史あるものを壊してまで作るマンションという箱に魅力も意義も感じない私は
この新築マンションがあまり好きにはなれないけれど。
そのマンションの1階に曳舟湯の息子さんがカフェを出すという。
そのカフェは応援したい。
それを楽しみに、この曳舟という街の変わっていく様子を見続けていきたい。

できることを、私たちなりに続けていくから。

曳舟湯さん。
ありがとうございました。
わたしたちのすみだのスタートは曳舟湯だから。
絶対に忘れません。
本当にありがとうございました!!


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